子どもの支援の中で増えつつある✚ゲーム障害とは?
前々回、紹介した障害児相談支援の中で、最近特に増えつつあるゲーム障害について紹介させて頂きます。
WHO(世界保健機構)は2019年5月「ゲーム障害」を精神疾患として位置づけ、国際疾病分類改訂版(ICD-11)に加えました。
「ゲーム障害」とは、簡単に言うと、ゲームに熱中しゲームをする時間などをコントロールできなくなり日常生活に支障が出る状態、いわゆる「ゲーム依存症」の状態になる事です。
スマートフォン(以下スマホ)は現在生活に欠かせないツールとなり、ゲームは年齢を問わず熱中される方が多いと思います。
またYouTubeなどの動画サイトを延々と視聴したり、LINEやインスタグラムなどのSNS上で、友達の反応が気になって頻繁にSNSを確認するために、スマホから離れられなくなる場合もあります。
熱中しすぎると、以下のような様々な問題を起こす事があります。
※身体面に与える影響
視力低下や運動不足による体力低下、栄養不足による骨密度低下など
※精神面へ与える影響
集中力、やる気の減退、睡眠障害、イライラ感など
※家庭内暴力・暴言などの家庭内不和、課金による経済面への影響
✚ゲームにのめり込む原因は?
・家庭や学校での人間関係にストレスを感じ、そのストレスから逃れるために使用を重ねてしまう。
・対人関係を築くのが苦手で、実生活では自分に自信が持てない場合、ゲームのような仮想の世界で活躍することで仲間に認められると、自己肯定感を感じやすくなる。
・他の仲間と協力してゲームを進めるため、途中でやめにくい。
・発達障害(自閉症スペクトラム障害や注意欠陥・多動性障害など)がある場合、場の空気を読むことや人との関係を上手に持つことが苦手なため、会話をせずに直接コミュニケーションがとれるゲームにはまりやすい傾向がある。
また注意欠陥・多動性障害(ADHD)により、特定の物事に集中したり、こだわったりする子どもとネット・ゲームとの上手な付き合い方について話をするにあたり、家族・相談支援専門員は次の事に気を付けています。
※子どもとゲームやスマホの話をする前に…
①ネット・ゲームについて理解を深めましょう
話し合うために、子どもが使用しているゲームについて学習しておくことは重要です。
用語、仕組み。ゲームの内容やサービスの種類、その面白さについて関心を持ってください。
関心を持つことで子どもが「わかってもらえるかも」と感じ、話し合いのきっかけになる事があります。
②「私は…」で始まる「Iメッセージで話しましょう」 「あなたは〇〇だ」という伝え方は無意識のうちに子どもを責める口調になりがちです。
「私はあなたを心配している」など、「私」から始まる言葉で話すと、口調が柔らかくなります。
③「できていること」などのプラスの面にも目を向ける
ゲームをめぐって家族関係が悪くなると、どうしても「できないこと」など悪い事ばかりに目が向いてしまいます。
「起床は遅いが学校は行けている」など、出来ている部分には目を向けてみましょう。
また子どもが出来ている事には「よく頑張っているね」「ありがとう」などの声掛けをしてみてください。
そうすることで、子どもの自己肯定感を高める一助や「いつも見守っている」というメッセージにもなります。
④勝手にインターネット回線を切ったり、ゲームを取り上げるのは逆効果
子どもにゲームをやめるよう伝えても、なかなか言うことをきかないため、つい感情的になり、インターネット回線を本人の合意・納得無く切ってしまうと、本人が怒ったり、暴力に発展することがあります。
一方的に遮断するのではなく話し合い、折り合いをつけましょう。
⑤親自身のゲームやスマホの使用を見直す
親自身のスマホ・ゲームの使い方を振り返り、子どもとの会話を増やしたり、一緒にテレビを見たりするなど、ゲーム・スマホなしで過ごす時間も大切にしましょう。
⑥仲間を作る
反抗期の子どもとの対応に難しさを感じている親がストレスを溜めないために、同じ立場の家族の体験談を聞くことは、気持ちを整理する助けになります。
また、あなたの何気ない体験談が他の家族の助けになる事もあります。
相談支援専門員としてかかわる事例の中で、ゲームに夢中になり、夜遅くまでゲームに夢中となり、就寝時間も短くなり、朝起きれず学校に登校できない。休みがちになり授業についていく事ができず友達との学力差が出始めることから不登校になってしまう児童も見て来ました。
家族・担任・スクールソーシャルワーカー・スクールカウンセラー・相談支援専門員が連携をとりながら児童がゲームにのめり込まない様に指導・支援をしていければと考えています。